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イントゥ・ザ・ワイルド [DVD]

『究極の自由、孤高の生』
 手前味噌だけど、08年どころか、これまで見てきた映画の中でもトップ10に入るほど素晴らしかった。今でもエディ・ヴェダーの絶唱を聴くと魂は震え、旅情は掻き立てられ、この青年の「生」を想い胸が熱くなる。 

 裕福な家庭に生まれ、大学をトップの成績で卒業した青年が、突如すべてを捨ててアラスカを目指す旅に出る――アメリカの新進監督がやりがちな、安易なロード・ムービーを思い浮かべるかもしれない。だが、これは本当の自由とは何か、自分の力だけで生きるということはどういうことなのか、そんなイノセントでストイックなテーマをとことん突き詰めた、極めてアメリカ的な「事実」の映画化だ。

 映画は2つの時間軸を行き来していく。クリスが各地で残した出会いと別れの痕跡を手がかりに、彼が見たであろう景色を追体験するロード・ムービー。そして、アラスカに辿りついたクリスの、壮絶な生の煌き。クリスがここでどのように生きていたのかは、もちろんクリスしか知らない。ショーン・ペンはこの濃密な空白を、彼へのシンパシーと想像力で以って補っていく。獲物を追い、自ら捌き、暖をとって眠る。そこには食って寝るという自然の営みしかない。けど、それがどんなに恐ろしく、厳しく、美しいものか。 

 社会や親への反抗心、自分探し、放浪癖――クリスがこの旅を始めた理由にはそういうものもあったんだろうけど、普通のバックパッカーとはどうにも次元が違いすぎる。究極の自由を見つけるための尋常ではない求道心が、彼を駆り立てていたとしか思えない。自分がまとっていた俗物をどんどんそぎ落とし、ストイックな精神と肉体に作り変え、「約束の地」を目指したのだ。

 物語の最後に、彼はある印象的な言葉を残す。少しではあるけれども、この映画を見た人は彼の見つけた「幸福」を分かち合うことができたと思う。

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